スペース寿司

とあるオタクの生活記録

心に飼ってる思春期

わけのわからない話が好きだ。わけがわからないというか、行間が妙に広い、みたいな文章が好きだ。
この感覚も人によりにけりだしこの説明で合っているか分からない。

久々の読書記録です。

 

シャンデリア (Kindle Single)


一言で言い表せない話である。

あまりにも文のつくる空間がでかすぎて、その隙間で何を考えてもいい感じが好きでした。

この話が描く何かを明確に感じ取れるからとか骨の髄までしゃぶりつくして楽しめるからとかそういうわけでは全くない。人間の抱える葛藤がどうとか親子がなんだとか不安がどうとかジェンダーどうとかなんとかかんとか言われると心が閉じてしまう。


デパートの描写がきらびやかすぎて想像つかない。ド庶民。
ルブタンもハリーウインストンもカルティエももはや十把一絡げで「高級」でくくる底辺なので、そのへんに共感というか、具体的に浮かぶものは微塵もない。

想像力の限りを使って見たこともないブランド品を思い浮かべてた。限界です。

陳列棚や商品のディテール描写が細かいので、実際に銀座三越松屋あたりでじっくり眺めたりしたのかなと思った。そこにいられる時点で生きてるステージが違う。

ヴァン・クリーフ&アーペルってなに??って調べたら宝飾ブランドだった。っは~~~縁がねえ~~~。

この作品、主人公の一人称であるけど、明確な感情というものは書かれてないのが不思議だけど楽しい。

たぶんこの主人公は所謂ちょっと拗らせてしまった人で、でもこれリアルな感情かもなと思った。
正直、「その年齢(主人公は40代)でこれは未熟すぎない?」って軽々しく言えない。
思ってる分には普通かもしれないと思った。それらを行動に移したシーンはヤバすぎたけど。

人間なんて早々熟せないと、この年齢になってようやく理解しはじめた。
自分がこんなだからだ。
大学時代に「いい年して」と見下していた大人たちは実は年齢相応だったのかもしれない。年齢も精神も未熟で、年齢を重ねれば自然とヒトは成熟するのだと思い込んでいた時代の私がただ勝手に嫌悪していただけだったのだ。

感想おしまい。


私の友人は著者について「無理。文体無理読めない」と言っていたが私はそこそこ安定して読めるし、表現にはっとさせられたりして楽しいなと思っている。

それはきっとポエム耐性が強いからなんだと思う。心に思春期がずっと居座ってる。思春期に病んだせいなのかなんなのか知らんが。誇れることではないし。


ただこの人を好きだと明言してる二次創作系作家の作品はことごとくうまいこと読めなかった。なんかアクが強いな…で終わる。

これってなんなんだろうな。同族嫌悪?


今日も帰ったら書きたい。