スペース寿司

とあるオタクの生活記録

境界線

ネタかぶりとは。パクりとは。

もう何年も前の話である。
私が初めてカプ物を書いていた界隈で、書き手の知人Aから相談を受けたことがあった。

曰く
・自分の書いた話の流れを踏襲したような話を書く人がいる
・その人は度々感想を送ってくれる人である

該当人物を仮にBとすると、私はBの作品を見たことがあった。その頃から
「あーこの人Aさん好きなんだろうな」
とは薄々感じていた。

話の流れ以外に、Aは作品におけるカプ内での互いの呼称が独特で、しかしAの萌えと考察、解釈の末のそれは私の性癖にも刺さり、いいなと思っていた。
Bはそこをまるっと踏襲していたわけである。
Aはそれを嫌がっていた。
そして言っていた。「やる気をなくす」。

それまで私は「Bさんの作品をAさんはどう思ってるのだろう。でも私の知らないところで仲が良くてネタを共有してんのかな」くらいの認識と距離感でいたものだから、なんと言っていいかわからなくなってしまった。
でも励ましたのは記憶にある。

BはAよりも作品数は多かったが、純粋な文章の完成度はAが圧倒的に高かったし、私はAの作品が好きだった。
だからBの作品を少しだけ読めなくなり、しかしBはそういった踏襲を止めなかった。
Aは私生活の多忙もあり更新をしなくなった。
Aとはジャンルが離れたが、ごくたまーーーーにゆるくLINEをする仲である。


ここまでが長い前フリであるが、どこからがパクりとされるのだろう。
ネタ?セリフ?展開?
ROMのときにそこまで気にして読んでいたかと思うとそうでもないかもしれないが、書き手としては気になってしまう。

上記経験などもあり私はネタかぶりやパクりにかなり過敏である。
どーにかして他者と被らないようにしようとあれこれ考えた結果何も浮かばず「これは書けない」となることが最近は多い。
王道ネタならまだ楽しいけど、少しだけニッチに踏み込んだものや原作の設定を逆手に取ったネタなどはなんだか被ったらいけないみたいに考えてしまう。
あとセリフ。
「このセリフ言わせたかった……」
となったときの落ち込みが凄い。

先に言わせときゃよかったと思うけど書かなかった自分が悪い。
あーその直情的なセリフはAにぴったり!
このちょっと素直になれない感じBにぴったり!
とは思うけどもう二度とその言葉の羅列は使えない。これが、つらい。悲しい。


被りの許容レベルの話をすごく聞きたい。
「好きネタやシチュはケーキと同じだからいくつあっても美味しいし嬉しいよ!」
とは友人の談であるが、ではセリフはいかがなものだろうか。
「このセリフとやりとりどこかで読んだ」
となったときあなたならどうする?
ネタだけでなく、特定のシチュエーションに追い込むためのギミックが被るときは?

かく言う私もセリフ被りをされたりしたことがある。
したときは偶然であった。投稿後に読んだとある作品とダダ被りという展開。心の中で謝罪した。
被りをされたときは「アナタ私のその話読んでたよね…?なんでここまで被った…?」と思った。
しかしROMからは好評な作品だったので、とても悲しくなったのをおぼえている。

ROMの私の声を胸に手を当てて聞いたところ
「普段はぼーっと生きてるので気にしないが気に入らん奴がそれやったら許さない」
と言っていた。
もはやそれがおまえの結論なんだろ、という片付けをせず、誰かの意見を知りたいところである。


昼休憩が終わる。
早く帰りたい。