スペース寿司

とあるオタクの生活記録

一個ウソをついていた

私は今年の冬が初めてのサークル参加だと言ってきたが、厳密には違う。
あれは中学に上がりたての頃だったか、先輩と一緒に地元の小さなオールジャンルイベントに参加したことがあった。
そういえばあった。
ナチュラルに忘れていた。

もちろんその頃の私は本をつくるスキルもないし、そもそも金がなかった。
でもイベントに参加したかった。
イベントというものがどういうものか見てみたかった。

 

そんなわけで先輩と合同サークル(懐かしい響き)を組んで参加した。
私が当日売っていたものは確かコピーで作成した便せんである。
画材屋で購入した原稿用紙に見様見真似で絵を描いて、同じ店で買った色上質紙にコピーして、ビニル袋にわけて、売った。
あと、スケブを受け付けたりもした。当時はイラストを描いていたのである。右向きばっかり描いてたけど。
売れる売れない、スケブ頼まれる頼まれないはどうでもよかった。
私はあの、地方独特のこじんまりしたイベントを心から楽しんでいた。
何かを作って参加していることにものすごく達成感をおぼえていた。


あの頃画材屋に行くだけでもずっとわくわくしてたもんな。
地元に一個しかないような同人向けの印刷所の紙見本やパンフレットを読んであれこれ妄想もしてた。
そういう時期がそういえばあった。

今の私はどうだ。
埋められない能力の差、人気の差に嫉妬して、嘆いて、イベントすら楽しめないでいる。自分のつくったものをゴミを見る目で見て、受け入れてもやれない。
やれ地雷がなんだ逆カプがどうたら解釈が云々と心がヘドロを垂れ流して止まらない。
これでいいのか。
あの頃の私はどこに行っちまったんだ。

イベントを楽しみたい。
何かをつくって参加したということに喜びを見出したい。
自分のうまい下手なんてどうでもいいじゃないか。
どうせ読まない人は読まない。
私だってそうだろう。
私だって誰かにとっての「自分の作品を読んでもくれない人」じゃないか。そういうことじゃないか。

推しカプ書けて幸せ!っていうその気持ちはあるじゃん。
推しカプの脳内映像具現化がんばるぞ!って思ってるじゃん。
そこだけでいいんだよ。
もうそれを育てなくていいんだ。そこでいいんだよ。止まってくれ。
オマエはそれでいいんだよ。

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