舞台を見てきた。役者目当ての舞台である。
結論あんまりおもしろくなかった。
作品を貶したいわけでも役者を貶したいわけでもない。
我らがオタクの代弁者アイドルの9ちゃんもこう言っていることですし。
— 末吉9太郎(CUBERS) (@9taro_cubers) 2022年11月6日
でも、やっぱりあんまりおもしろくなかったな~という気持ちで書いている。
なぜおもしろくないと感じたのかずっと考えてたけど、初手で物語からはじき出されたからだと思う。
エンタメに振った感じの作品だったんだけど、台詞に込められた情報量と台詞自体の量がカンストしていた。
ちょっと他に気を取られると置いてかれるレベルの伏線が台詞に組み込まれており、それが15人を超える出演者の数だけ起こる。
そして台詞自体の量が多い、ということはなるべくテンポよく回さないといけなくなるわけで、必然的にテンポが速くなっていく。役者陣もあまり自分の「間」みたいなものを持てないのだろう。
それが早い。早すぎる。やばい。
私が老いてついていけないだけなのかもしれないが、早すぎてもはや何を言っているのかわからない場面もあった。
やってる側とかは台詞入ってるから気づかないあるある。
某メンタリストばりの捲し立てるようなやりとりをすることで、意識を集中させたり飽きさせないようにしているのかなとも思ったけど、一旦置いてかれるとそれもまた「なんかわーわー言ってる」になってしまうわけである。
あと随所に挟まれるギャグもおそらく飽き対策だが、あちこちにねじこむためにシーンの尺がいちいち長くなってしまうというスパイラル。
そう、それなりの情報量の処理にはそれなりに時間がいる。
上演時間はおよそ120分以上であった。(※休憩なし)
休憩なしノンストップ120分以上っておもしろくても一瞬ダレるくらいある。
というわけで一回置いて行かれ、がんばって食らいついたものの疎外感が消えないまま物語はミッドポイントへ、そして山場へ、クライマックスへと突き進んでいった。
情報供給のペースも早口もほぼ変わらなかった。
出演者全員何かしらあって何かしらなんかいいこと言うのである。
でも、多くて早い。あと長い。
出演者の数だけ盛り上げて見せ場を作りたかったんだろう、というのはわかる。
役者の熱量が上がっているのもわかる。何より生き生きしているのもわかる。
こっちを引き込もうと必死なのもわかる。
それぞれ、ほんっっとーーーに素晴らしいのである。
ストーリーの世界観や主軸にあるいくつかのメッセージは個人的に抵抗はあったが、そのキャスト陣を動かすならごもっともな展開だったし、「そういうもの」と思って見てしまえばすんなり受け入れられた。
目当ての役者さんはもちろん、他の出演者全員が技量実力ともに文句なし。かわいいかっこいい声の通りもよい。動きもきれい。ぐっと目を引くアクションやダンス。出演者全員にムラなく与えられる見せ場。
わかるからこそ本当にしんどい。
舞台の場とか、舞台表現のことを本当に好きな人が、信頼できる人たちとつくったんだろうなっていうのはすごく分かった。
キャストやスタッフの良さを生かすためにこの本を書いて演出して、一丸となってこの作品を愛して、この作品の良さを客に伝えようとしているのだと。
でも、見たあとは「こんなもんか」で終わってしまった。
楽しそうにやってるとこを眺めてたなーくらい。
ぶっちゃけおもろいかつまらんかで言えばつまらんかった。
多分一年後とかには細かいこと思い出せないかもしれない。
だけど、技量とセンスをぶつけあって作品をひとつつくりあげていったあのカンパニーの姿は、私なんかよりよっぽど素晴らしいから、私はあの作品を否定したり、貶してはならないと思った。
そういう気持ちを書きにきた。
おわり。